LGBTQ+に関する用語をわかりやすく解説していると、韓国で話題となっている「YOUTUBER JLIPS(마성의 게이)」さんのブログ。 これをご本人の許諾のもと日本語に翻訳し、日本のみなさんにもお届けします!

 

日本のみなさん、こんにちは。
YOUTUBER JLIPS(마성의 게이)です。

「私は同性愛者です」とカミングアウトすると、大概の異性愛者は無邪気な顔でこのような質問をします。

「じゃあ、あなたは男の役割なの、女の役割なの?」

う〜ん...?

同性愛者の中では彼らの無知に嘆き、怒ったりする人もいます。

でも、筆者、마성의 게이(魔性のゲイ)はそんなことでは怒りません。

教えてもらったことがないから、そういうふうに思うようになったのかもしれませんし。

ですので、今日は異性愛者のみなさんに、同性愛者の「男の役割」と「女の役割」について解説したいと思います。

[第4回]から読む:https://tokyorainbowpride.com/magazine/lgbtqcourse/11399/

 

2014年だったかな...?
ドラァグクイーン(Drag Queen)ショーをするゲイの話を盛り込んだミュージカル『La Cage aux Folles(ラ・カージュ・オ・フォール)』(*)を家族全員で一緒に観に行きました。

*1973年、ジャン・ポワレ作のフランスの舞台劇で、熟年ゲイカップルが主役となるコメディ。1978年に邦題『Mr.レディ Mr.マダム』として映画化(フランス=イタリア合作)。ハリウッド・リメイク版『バードゲージ』(1996年/アメリカ)もある。1983年にブロードウェイでミュージカル化。日本語版のミュージカルは1985年に初演(岡田真澄、近藤正臣がゲイカップル役を演じた)。その後、鹿賀丈史、市村正親のコンビで何度も上演されている。

 

男優たちが女装し、滑稽なしぐさと語り口で笑いを誘った。

このミュージカルで、メインとなったゲイカップルがいましたが、
一人はひげを伸ばして、スーツを着て、とても男らしく、
もう一人は化粧をして、ヒールも履いて、ウィッグも被って女らしさを体現していました。

メインだったゲイカップル。この二人の、「男性性」と「女性性」が対照的だった。

 

公演を楽しく観て家に帰る途中、姉がこんな発言をしました。

「ゲイが好きな男性芸能人の順位を付けてみると、女性たち(が付けた順位)と似ているんだって。ゲイは女っぽい男性が好きなわけではないんだって」
(無邪気な顔)

 

それで、筆者はこのように話しました。

「もちろんだよ。ゲイというのは女性が男性に惹かれるのと同じように、男性が男性に惹かれるものだから、同じでしょ」
(慌てましたが、自分の話ではないというように)

 

すると、車のフロントシートに座っている母がこう言いました。

「ところで、女の役割をするゲイもいるじゃない」
(こちらも無邪気な顔)

 

それで、筆者はこのように言いました。

「同性愛者のどこに、男の役割と女の役割があるというの。両方とも男性、あるいは両方とも女性なのに」
(無表情維持。インナーピース維持)

 

すると母がこう言います。

「いや、だって、さっきのミュージカルに登場したゲイカップルは、男の役割をする人と女の役割をする人がいたじゃない」
(……)

 

これ以上話したら、自分のセクシュアリティが家族にバレそうで、怖くなった筆者はこの辺で会話をやめて、心の中で受け止めました。

私の空しい心を、誰が分かってくれるだろう……

 

同性愛者に、「男の役割」と「女の役割」というものはありません(キッパリ)。

しかし、母や姉が言う「男の役割」と「女の役割」というものが、何を見て言っているのかは分かります。

 

問題の発端1.

同じ程度の「男性性」「女性性」を持っている同性カップルよりは、どうやら「男性性」が主に出る人と「女性性」が主に出る人との同性カップルが断然目に付きやすい。
そんな2人が道を歩いていると、はるかに異性愛者の目にも付きやすい。
なので、主にそのような組合せの同性カップルだけが、異性愛者のレーダーに引っ掛かります。
なので、多くの異性愛者が「そうか、同性カップルは男の役割をする人と女の役割をする人がいるんだね~」と考えるようになります。

 

問題の発端2.

すべての人々は、それぞれ異なる程度の「男性性」と「女性性」を持っています。
誰かと誰かを比較してみるとして、まったく同じ程度の「男性性」と「女性性」を持っているということはありえないのです。
つまり、カップルになっている2人の「男性性」と「女性性」は相対的なものなわけです。
どちらか一方が、もう一方に比べて、より男らしく見えたり、あるいは、より女らしく見えたりするのはしかたないことでしょう。
※ここでの「男性性」「女性性」は社会で規定された「男性性」「女性性」を意味します。

このような姿を見て異性愛者は、比較してより男らしく見える人を「男の役割」、比較してより女らしく見える人を「女の役割」と呼んでしまうのです。
異性愛中心の考え方で恋愛をするには、必ず「男」と「女」がいなければならないと考えるからです。

しかし、相対的な「男らしさ」と「女らしさ」は、同性愛者のカップルのみで起こる現象ではありません。
異性愛者のカップルの間でもこの差は現れます。
当然でしょう。(別々の人格を持つ)2人が出会ったんだから。
そして、男性だけがより男らしく、女性だけがより女らしくあるべきというのはおかしくないですか?

 

男女を問わず、すべての人はそれぞれの「女らしさ」と「男らしさ」を合わせ持って生まれたのに(まるで性格が違うように)、
社会から「男はこうあるべき!」「女性はこうあるべき!」と飼い慣らされて、
男性は社会が規定した「男らしさ」だけを、女性は社会が規定した「女らしさ」だけを発達させる機会しか与えられず、
「男らしい」男性が、あるいは、「女らしい」女性が、より多く存在するようになったのだと、
筆者はそう考えています。

人間は社会的動物というじゃないですか。それゆえ、社会に飼い慣らされてしまったのでしょう。

 

さて、先ほどのミュージカルの話に戻ると、
筆者は母に、このような話をしてみました。
「同性愛者のどこに、男の役割と女の役割があるというの。両方とも男性、あるいは、両方とも女性だというだけなのに」

同性愛は男性が男性を、あるいは、女性が女性を好きになること。
だったら、両者がともに「男の役割」、あるいは両者がともに「女の役割」、ということになるのではないでしょうか?
「男の役割」をする人に会いたいなら男性と会えばよくて、なぜあえて女性の中から「男の役割」をしてくれる人を探すのだろう〜ということです。
非常に異性愛中心的な考えですね。

 

確かに、ゲイ用語の中でトップ、ボトム、オール(日本語だと、タチ、ウケ/ネコ、リバ)という用語はあります。
レズビアンはブッチ、フェム、全天、無性向(日本語だと、タチ、ネコ、リバ)という用語を使います。
同性愛者の中では、こういった用語が異性愛中心的ではないかということで、タチとネコで分けるのをやめようという声もたくさんあります。

これについてはもっと話したいことがあるので、次回をお待ちください。

同性愛者を理解するために、この講座が役に立つといいですね。

 

では、次回の講座で会いましょう♥
ハッピープライド!

 

※本連載は24回で完結します。各回個別の解説だけでなく、全体を通して、LGBTQ+について、少しでも理解が深まればと考えています。

※LGBTQ+に関する用語や定義等は、新しい研究成果やものの見方、知見によって更新されていくものです。また、考え方や立場などによって見解が異なる場合もあるでしょう。これが「正解」という明確な答えがないことは承知しつつ、なるべく一般的で、できるかぎり新しい見解を取り入れられるよう努めていきたいと思っています。その点、ご理解ください。

 

原文:YOUTUBER JLIPS(마성의 게이)
JLIPSという名前でユーチューブ活動をしていて、ジェンダーとセクシュアリティに関するブログである마성의 게이を運営している。
( Youtube:http://youtube.com/jlipss / Blog:http://blog.naver.com/queerdigger
日本語訳:on Lee(TRP理事)