LGBTQ+に関する用語をわかりやすく解説していると、韓国で話題となっている「YOUTUBER JLIPS(마성의 게이)」さんのブログ。 これをご本人の許諾のもと日本語に翻訳し、日本のみなさんにもお届けします!

講座一覧を見る:https://tokyorainbowpride.com/magazine/rensai/lgbtqword/

日本のみなさん、こんにちは。
YOUTUBER JLIPS(마성의 게이)です。

今日はインターセックス(intersex)、韓国では「間性」と呼ばれる性別について調べてみましょう。

 

[第1回の講座]で、生物学的性別(biological sex)は一般的には、男性(male)女性(female)の2つに分けられますが、インターセックス(intersex)、性分化疾患(DSD:disorders of sex development)と呼ばれる状態の人もいると話ましたよね。
[第1回]を参照:https://tokyorainbowpride.com/magazine/lgbtqcourse/10419/

もう一度説明しますと、

インターセックス(intersex)とは、XO、XXYなど、男性と女性に属していない性染色体を持っていたり、外部生殖器は男性なのに卵巣があるなど、「典型的な男性」あるいは「典型的な女性」の身体的特徴を持っていない状態を指します。

インターセックスの人々

 

インターセックスが出現する確率については、様々な説がありますが、実際と最も近いとされる数字は、1.7%と言われています。
どうでしょう、思ったより多くないですか?

 

もし生まれた子供の外部や内部の生殖器の性別がはっきりしていない場合は、
子供の性別を男性か女性かのどちらかに合わせるため、
医師は、赤ちゃんの生殖器を「直して」あげます。

上の図のような現象は、XY、XXなど、どんな性染色体を持っているのか、内部にどんな生殖器官を備えているかとは関係なく出現します。

 

最も代表的な例として女児の陰核肥大(hypertrophied clitoris または clitoromegaly)が挙げられますが、これもまた、「治療」の対象になります。

以前は陰核摘出術(clitoridectomy)またはFGM(female genital mutilation:女性器切除)をしましたが、最近では、子供の生活の質(quality of life)や人権を考慮して、陰核を切除せず縮小させる陰核形成術(clitoroplasty)をするそうです。しかし、これもまた、子供の意見・意志を問わずに行われる手術ですから、子供の人権を侵害するとして、多くのインターセックスの人が反対しています。

このような子供たちは、外部生殖器が陰核(クリトリス)と陰茎(ペニス)の中間的な形態をしているためジェンダー学的に見れば、この子は「完全な女児」ではないでしょう。しかし、子宮と卵巣があり、XX染色体を所有しているため、医学的には、「女児に近い」と判断されるのでしょう。それで女性生殖器の形を備えるように「治療」されているのですね。

 

陰核肥大の発生原因は、出生前の性器発達期間に比較的多くの男性ホルモンにさらされたことによるとされています。
だからといって、これは、胎児の生殖器の形にのみ関与するだけで、胎児の性格面(男性的な傾向等)に影響を与えたりはしません。
しかし、生殖器の形のために男の子として育てられた場合には、「男性的」な性格や志向を備えてしまうことはあるでしょう。

上の写真で、一番左の子供は対照群で、「正常な」女の子の姿をしています。
残りA、B、C、Dの子供たちはインターセックスで、この中でBは男の子に育てられました。

インターセックス関連の手術について調べる過程で、あまりにも多くの手術(または民間的施術)写真を見てしまい、ムカムカしてしまったので、手術の話はここまでにします。

 

このような子供たちは、肉体が「完全」な男性や女性の姿を備えていないため、両方の性別のどちらにも「完全」に含まれていないにもかかわらず、出生届を出す際に、親が子供の性別を2つの中から1つ選ぶようになっていますね。

これらの問題を解決するために、いくつかの国では法律で、子供の出生届に「第3の性」と表記することができるようにしており、パスポート、運転免許証などの各種公的文書で自分の性別を「X」と表記することができるようにしています。どの国でどのような法律を施行しているか見てみましょう。

しかし、それを見るにあたって、ノンバイナリージェンダー、ジェンダークィア、トランスジェンダー、そして性別違和の概念を知らないと理解が難しいと思いますので、よくわからない場合は[第1回の講座]と[第2回の講座]をお読みになることを、おすすめします。
[第1回]を参照:https://tokyorainbowpride.com/magazine/lgbtqcourse/10419/
[第2回]を参照:https://tokyorainbowpride.com/magazine/lgbtqcourse/10894/

 

※この記事は、2016.04.08に作成されたもので、下記に提示された情報は、現時点の情報と異なる場合があります。

オーストラリア(Astralia)

ノンバイナリジェンダー(non-binary gender)とインターセックス(intersex)などの人々がパスポートに自分の性別を「X(indeterminate/ unspecified/ intersex)」と表記することができます。出生届にも自分の性別を「sex:not specified」に置き換えることができます。このとき、個人の性自認(gender identity)に対する医師の証明書が必要ですが、性別適合手術の有無は関係がありません

アルゼンチン(Argentina)

2012年から医師の診断なしパスポート、出生届などの公的文書の性別を個人が簡単に変えることができ(男性/女性のみ)、性別適合手術を希望する場合には、すべての市民が手術を受けることができます。

バングラデシュ(Bangladesh)

2011年からパスポートに性別を「other」と表記することができます。

コロンビア(Columbia)

2015年から性別適合手術の有無にかかわらずパスポートなどの公的な文書の性別表記(男性/女性のみ)を変えることができます。

デンマーク(Denmark)

2014年から18歳以上である時は、医師の診断なしに個人が希望する場合、申請後6ヶ月を待つとパスポートの性別表記を「X」と表記することができます。

フランス(France)

2015年から本人が希望する場合、インターセックスの大人は自分の出生届の性別を「gender neutral」に置き換えることができます。

ドイツ(Germany)

2013年からインターセックス子共が生まれたとき、出生届の性別を「X」と表記することができます。ヨーロッパで初めて、自分の性別を「X」と出生届に表記することが、成人になるまで待たなくても可能になりました。しかし、パスポートの表記は、まだ男性と女性のみ表記することができます。

インド(India)

2005年から「第3の性」の概念を認めましたが、2014年になってようやく、これに対する法が制定されました。パスポートに自分の性別を「T」または「E」と表記することができます。Tトランスジェンダー(transgender)を意味し、E(eunuch)伝統的習慣で去勢された男(韓国では內侍)を意味します。

アイルランド(Ireland)

2015年から18歳以上のトランスジェンダーの場合にのみ、性別適合手術の有無にかかわらず公的な文書での性別表記(男性/女性のみ)を変えることができます。インターセックスとノンバイナリージェンダーはまだ不可能です。

ネパール(Nepal)

2015からパスポートの性別を「X」と表記することができます。

ニュージーランド(New Zeland)

2012年からインターセックス、ノンバイナリージェンダーを証明することなく、申請するだけで、パスポートと運転免許証の性別を「X(indeterminate/ unspecified)」と表記することができます。ただし、1995年から出生届の性別を変えたい場合は、性別適合手術をしなければならず、自分がこの性別(男性/女性のみ)として生きたいということを証明しなければなりません。

ルーマニア(Romania)

性器の手術をした場合だけ、性別表記(男性/女性のみ)を変えることができ、変更された性別の反対性別のみと結婚をすることができます。

フィリピン(Phillipines)

まだトランスジェンダーは、自分の合法的性別を変えることができませんが、インターセックスの場合は性別(男性/女性のみ)を変えることができようになっています。

南アフリカ共和国(South Africa)

2003年以来、性別適合手術の有無にかかわらず、ホルモン治療だけで合法的に性別(男性/女性のみ)を変えることができます。

大韓民国(South Korea)

2013年から性器の手術の有無にかかわらず、合法的性別(男性/女性のみ)を変えることができます。

イギリス(United Kingdom)

性別違和(gender dysphoria)と診断されなければならず、自分が希望する性別(男性/女性のみ)2年以上生活していなければなりませんが、性別適合手術の有無とは関係がありません。

アメリカ(USA)

ある程度の性別適合手術を行ない、それに対する医師の証明書がある場合のみ性別表記(男性/女性のみ)を変えることができます。

 

アメリカのソーシャルメディアサイトであるフェイスブック(facebook)は、自分の性別を男性や女性ではない性別「custom」に設定した後、自分の性自認(gender identity)を空白に埋めていくことができ、誕生日の通知で自分を指す代名詞(pronoun)を「she」にするか、「he」にするか、または中立的な「them」にするかを選択することができます。

韓国でもし、法的にパスポートで「X」ジェンダーへの性別表記を許可しても、これが必ずしも良いものではないのが、「X」ジェンダーを許可していない他の国に旅行するときに問題視されたり、出国ができない場合もあります。(例えば、ユナイテッド・ステーツ・オブ・アメリカ。はい、アメリカ合衆国です。)

このように性別を「X」と表記するということで、Xジェンダー(X gender)とも呼ばれますが、
日本では以前から「Xジェンダー」をノンバイナリージェンダー(non-binary gender)の意味で使っていたそうです。
FTM(female to male:指定性別は女性だけど性自認は男性のトランスジェンダー)、MTF(male to female:指定性別は男性だけど性自認は女性のトランスジェンダー)をまねて、
MTX(male to X:指定性別は男性だけど性自認はXのノンバイナリージェンダー)、FTX(female to X:指定性別は女性だけど性自認はXのノンバイナリージェンダー)で表すこともあるそうです。

 

では、次回の講座で会いましょう♥
ハッピープライド!

続けて[第13回]を読む:https://tokyorainbowpride.com/magazine/lgbtqcourse/15943/

※本連載は24回で完結します。各回個別の解説だけでなく、全体を通して、LGBTQ+について、少しでも理解が深まればと考えています。

※LGBTQ+に関する用語や定義等は、新しい研究成果やものの見方、知見によって更新されていくものです。また、考え方や立場などによって見解が異なる場合もあるでしょう。これが「正解」という明確な答えがないことは承知しつつ、なるべく一般的で、できるかぎり新しい見解を取り入れられるよう努めていきたいと思っています。その点、ご理解ください。

原文:YOUTUBER JLIPS(마성의 게이)
JLIPSという名前でユーチューブ活動をしていて、ジェンダーとセクシュアリティに関するブログである마성의 게이を運営している。
( Youtube:http://youtube.com/jlipss / Blog:http://blog.naver.com/queerdigger
日本語訳:on Lee(TRP理事)

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